機能不全家族(きのうふぜんかぞく)とは、家庭内に対立や不法行為、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト等が存在する家庭を指す。また、その状態を家庭崩壊(かていほうかい)と称する。
概要 [編集]
機能不全家族とは、「子育て」、「団欒」、「地域との関わり」といった本来家庭に存在すべき機能が、健全に機能していない家庭の問題を指す。そしてこの機能不全家族で指摘される問題は、家庭内の不健全な事実が存在する問題よりも、むしろその機能不全家族の中で育った子供への悪影響が指摘されることが多い。つまり、機能不全家族内で育った子供は、機能不全な環境や考え方が一般的であると認識し成長しやすく、また幼少期の重要な人格形成において愛情を得る機会が非常に乏しくなり、自己愛・自尊心、他者への共感、他者の苦しみに対する理解等に欠けた人間にもなりやすい。この結果、機能不全家族により、社会と健全な関係を築くことができない大人が輩出される。
機能不全家族となる要因としては、代表的なものとして、家族構成員のアルコール依存、虐待、共依存などが挙げられる。また、このような機能不全的な家庭となっている場合は、その家庭を構成する親、または祖父母などが、機能不全家族で育った経歴がある可能性も高い。
なお、前述のように、機能不全家族において最も被害者となるのは、自らに生活力がないため、その家庭から逃れることができない子供である。生活能力に乏しい子供は、このような不幸な状況から逃れることができず、歪んだ文化を全身に受けながら生活しなければならない。そして、子供としての時期に学ぶべき社会ルールや愛情を学ぶことができず、親や家庭に過大な気遣いをしながらの生活を余儀なくされ、歪んだ自動思考を身につける事が多い。結果として、成人しても、歪んだ思考により社会適合ができにくく問題を引き起こす場合がある。
このような家庭問題(家族崩壊)の中で育った子供が、育った環境の不健全さに気づいた場合、過去に学んだ不健全な生活習慣からの脱却に向けて、莫大なエネルギーを費やして、回復の努力をしなければならないことが多い。しかしながら、機能不全家族の一番の問題点としては、機能不全家族の中で育った子供が、育った環境の不健全さに気づかない場合に、自己の配偶者としても同様の歪んだ価値観をもったパートナーを選ぶ場合が多く、成人してからも同様に不遇な人生を選んでしまう場合が多々あることである。また、機能不全的なパートナーを選ばずとも、自らの機能不全家族の経験や、健全家族の経験の欠如から、世代間連鎖によって、新たな機能不全家族を生み出す場合も多く、自己の人生においても、不遇な、または破滅的な人生となる場合が多い。
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